先日適宜開示した5件のうちの1個が有償SOの発行について。最近では、有償SOを発行している上場企業はかなり多い。業績にコミットするという意味でマネジメント陣にのみ発行しているところもあれば、全社員に発行しているところもある。有償SOは、無償SOと違ってコミットメント型になるため、公正発行であり株主総会での決議を必要としないのが特徴だ。以下がレアジョブの有償SOに関するリリースだ。
募集新株予約権(有償発行新株予約権)の発行に関するお知らせ
上場前には無償ストックオプションを発行していたが、上場後は全社員に対して有償ストックオプションを発行することとした。その意義について文章でまとめてみた。
有償ストックオプションって?
まずこの有償ストックオプションって何か。
「一定の業績を達成することで、現在の株価にて株式を買える権利」を買うことができるもの
と言えるかと思う。ちょっとわかりにくいので、ざっくり言うとこんな感じか。
・業績あがって目標達成したら、成功報酬が得られます
・でもそのためには、お金を最初に払ってリスクを取ってください
・業績達成できなかったら、最初に払ったお金は無駄になります
すなわち、業績達成させれば株価は上昇するだろうから既存の株主はハッピーだし、
業績達成にがんばった従業員もそのご褒美に預からせてください、という制度。
どんな条件が付いているの?
今回のレアジョブの有償SOは、色々と考えた上で、こんな条件になっている。
2017/3期、2018/3期、どちからで営業利益4億円を超えれば、50%行使可能。どちらかで営業利益5億円を超えれば100%行使可能。ただし、2017/3期に営業利益2億円を下回ったら、権利は行使できない、というものだ。この業績達成がどれくらい大変か、などなどをモンテカルロシミュレーションによって算定して、発行価格が以下のように決定した。
1個(100株)当たりの発行価格:3,600円
行使価格:2,694円
どれだけ儲かるの?
で、実際、どれだけリターン得られるの?ということ。
1個(100株)の場合
必要投資額:3,600円
条件達成時、その時の株価
5,000円の場合:(5,000 – 2,694)*100 = 約23万円
10,000円の場合:(10,000 – 2,694)*100 = 約73万円
が得られる計算となる。仮に、10個割り当てられていて、業績好調で株価10,000円になっていれば、730万円くらい得られるということ。かなりいいボーナスになる。ただし、10個割り当てられている場合は、このメリットを享受するために、最初に36,000円払わなくてはいけない。もちろん業績達成は必須だ。ただ、業績が良くても日本の景気がよくなかったりすれば、株価はどうなっているかわからない。そんなリスクもはらんでいる。
今回は、合計で1,812個(181,200株)の新株予約権を発行する。現在の発行済み株式数の9%ちょっとというかなり多い量だ。他社をみると1%前後だったりする。これだけ多くの量を発行するのは、みんなできちっと業績達成をして、達成したら働いている人みんなで成功報酬を得ましょう、という想いから。だからマネジメント陣だけに割り当てる、ということにせずに全社員に広く割り当てることとした。
この有償SOに申し込む申し込まないは、個人の自由意思としている。自分たちの働く会社で、自分たちのがんばりによって業績を上げて、業績目標達成したらその報酬をきちっと受け取れる。業績未達の場合は受け取れない。そういう働き方、考え方は好きだし、もちろん、私は自分に割り当てられた分、全部購入する。金融商品として考えても、こんなリターンのいい商品はなかなかないと思うしね。
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