アーカイブ ‘ 2012年 8月

英語学習には机上の学習より実践の学習が良いという研究成果

イリノイ大学シカゴ校とジョージタウン大学医療センターの研究によって、次のことが明らかになったという。

http://lifehacker.com/5897308/immersion-in-a-foreign-language-rewires-your-brain-+-especially-when-you-take-time-off?tag=language

 

外国語学習においては、学習をしない期間は必ずしもマイナスになるわけではない。それよりも、学習の効果はその勉強スタイル、机上での学習か実践での学習か、により大きく左右される。文法読解などの机上の学習ではなく、会話練習など実践的な学習を行ったほうが、ネイティブスピーカーと同じように脳を使い外国語を話せるようになる。

 

 

机上の勉強でも、実践の会話での勉強でも、どちらの勉強スタイルにおいても、同じ程度の言語レベルまで上達していた。しかし、脳を分析すると、実践的な会話での学習を行った人たちは脳の使い方が異なり、ネイティブスピーカーと同じような言語処理のしかたをしていたという。実例で言いかえると、机上の勉強でも会話中心でもTOEIC LRのテストでは同じ得点が取れる。しかし、いざ実践となると机上の勉強組と実践の勉強組では全くアウトプットが異なる。さらに、数か月間勉強のブランクが空いた場合でも、実践での学習組は脳の言語処理パターンは変わらなかったという。一度覚えるとその処理方法は忘れにくく、すぐに上達するような仕組みになっているということだろう。

 

これ、凄い研究成果だなと思います。もっとこれが理論的に成熟していくと日本の英語学習スタイルはどんどん変わっていくのではないかなと思う。現在の机上での文法中心スタイルから、会話中心での勉強スタイルへ。脳の言語処理を変化させることで、英語で考えられるようになり上達が早く、かつ、忘れにくくなる。一度自転車の乗り方を覚えれば、1年乗ってなくても乗れるのと一緒だ。速く走るようにトレーニングするのは乗り方を覚えた後。自転車に乗れないときから速く走る方法を勉強する、というのはないだろう。上記のリンクは論文のサマリーだが、元の論文を早速読んで、深く理解してみたいと思う。大学の研究論文を読むって懐かしいなぁ。


英語の決まり文句を言えるようにするために

英語がある程度出来てくるようになると、ちょっとしたネイティブのお決まり文句はなんとなくわかるようになる。例えば、

 

“I’m tired. Why don’t we take a break?”
“We’re almost there.”

 

意味わかりますか?後少し、もう一息だよ、という意味です。これは何となく文章の前後関係や字面から考えてわかるかなと思います。ですが、ちょっとわかっていないと理解しにくい言い回しなんかもあります。こういったものは文章読んで、どういうことからその意味になっているのかを一度理解すると覚えやすい。

 

“I don’t have the courage to speak to her.”
“You have nothing to lose.”

 

この場合、
「あなたに失うものは何もない」 ⇒ 「だめもとだろ」
というニュアンスのフレーズになります。一文だけだったら意味がわからなくとも、会話形式になっていると意味を推測しやすくなります。だから、こういった会話形式で覚えておくとストーリーとして頭に入りやすく、覚えやすいです。

 

“You don’t say.”

これってどういう意味?と聞かれてわからなくても問題ありません。実際の会話では、

“Mike is studying hard.”

“You don’t say.” 

という風に使われ、ここで意味がわかれば問題ありません。この文脈ならなんとなく想像できますよね。「ほんとに~~?」みたいなニュアンスですね。一文だけで聞かれてわからなくても問題ありません。実際に使われるのは文脈の中です。覚えるときは一文だけではなく、文脈と一緒に会話形式で覚えていきましょう。

 

聞いてわかるようになったら、自分でも使えるようになりたい。そう思うのは自然なこと。実際、こういったフレーズは使わなくとも困りはしませんが、使えるようになるとちょっと進歩したなとか、カッコイイなと思ったりしてさらに学びたくなるもの。ではどうやって実際に使えるようにするのか。とっさに出てくるようにするためには、実際に口に出してどんどん使っていくしかありません。実際の対話形式のフレーズ集をもとに、ロールプレイングをしてみましょう。フレーズ集としては、下記の本はなかなかまとまっていてよかったです。あとがきに書いてありましたが、著者の晴山先生は、本書のフレーズを実際にスカイプ英会話の講師とロールプレイングしていたそうですよ。ちょっとイケテル英語フレーズを身につけたい人にオススメです。

 

超キホンの日常会話なのに日本人なら必ず間違える英語

 英語の決まり文句を言えるようにするために


未来型レーザーキーボードを使ってみた

ふと気になったので買ってみた。未来型レーザーキーボード 「Magic Cube12,620 円。Celluonという韓国の会社の製品だ。早速ONしてみると、こんな感じになる。位ところならもちろん明るいが、電気のついているところでも全く問題ない光量。キーの部分を押すと、ピッと音がする。それで押したかどうかがわかるようになっている。ただし、音は消すことも可能。

 

DSC 0894 300x225 未来型レーザーキーボードを使ってみたDSC 0891 300x225 未来型レーザーキーボードを使ってみた

 

これをスマートフォンやタブレットに接続してみる。まずは、ドコモのAndroid XPERIA SO-02C。この機種はそのままでは接続できないので、接続用アプリCelluon BlueInputをダウンロードしてインストール。設定を行うと、見事、使えるようになった。ちゃんと照射された文字を指でタッチすると、その文字がスマホの画面に入力される!ちょっと感動。さてさてこれでスマホでめんどくさかったメールも楽になるかな、と思ったけど、日本語入力の切り替え方がわからない。えっとー、えっとー、いろいろ探してみたところ、このアプリでは日本語入力出来ないとのこと・・・スマホでの入力作業を楽にするため、というのも一つの目的として買ったキーパッドだったのに英語入力のみか。。。残念。

続いてiPadにも接続させてみた。これはすんなり接続でき、さらに日本語入力も問題なくできる!このMaticCube、大きさは約8cm × 4cm × 3cm のもので思った以上に小さい。これなら持ち運びも可能だ。スマホとMagicCubeを持ってカフェでカチカチやっているという光景、きっと注目を浴びるだろう。

 

DSC 0897 225x300 未来型レーザーキーボードを使ってみた

 

このレーザーキーボード、どういった仕組みで成り立っているかというと、筺体の真ん中についたセンサーと下部についている赤外線によってどの部分が押されたのかを判別している。指でタッチするときに、赤外線の低さまで来ないと反応しない。赤外線は水平方向に広範囲に出ていて、そこで位置を検出する。その位置情報が予め入力されているキー配置情報に変換され、キー情報がスマートフォンなど端末にBluetoothで転送される仕組みだ。この赤外線がポイントになるので、水平な場所で利用しないとうまく作動しない。実際、この筺体を少し持ちあげて使ってみると、赤外線の高さに上からでも下からでも指を持ってくると反応し、床に照射されたキーボードをタッチしても何も起こらない。色んな形で実験してみたが、それなりに感度はいい。

 

120825 300x143 未来型レーザーキーボードを使ってみた

 

では、実際にどれくらい実用的なのかをみるために、iPadで実験してみた。対象とする3つのキーパッドは、通常のiPadのキーパッド、外付けのLogicoolのキーボード、MagicCubeのレーザーキーボード。iPadアプリでタイピングソフトをダウンロードし、どれだけ速く正確に打てるか測定してみた。以下が結果になる。

 

正確性 タイピング速度
iPadキーパッド 98% 2.5key/s
iPad外付けLogicoolキーボード 100% 5.0key/s
レーザーキーボード 98% 2.1key/s

 

レーザーキーボードやiPadキーボードでは、キーを見ながら打っているためゆっくりになるが、そこまでミスも多くない。この結果を見ると、iPadを使う限り、レーザーキーボードの優位性はあまりなさそうだ。やはり、レーザーキーボードはスマートフォンで威力を発揮する可能性があるのではないかなと感じる。実用性よりも面白さ、斬新さが優先されるものなので、プレゼントなどに良い商品だろう。


スタッフブログ始まってます

レアジョブでは、生徒様に色々なスタイルの英会話レッスンで、楽しみながら英語学習してもらっています。そんな中でこういうレッスンやってるよ、とか、こんな講師とってるよ、なんていう情報をいただいたりしています。それをレアジョブ学習法としてキャンペーン展開したり、インタビューなどから内容を英語学習お悩み相談室にまとめたりしています。

 

ですが、レッスンを受けているのは生徒様だけではありません。我々スタッフも一生懸命レッスンを受けています。サービスをより理解できるから、っていう人もいれば、英語のレベルを上げなければいけないから利用するという人もいます。後者が多いですが。。。せっかくスタッフがレッスンを受けているんだから、その情報を多くの人に届けなくては。というわけでスタッフブログ始まりました。

レアジョブレッスン1000本ノック!!

みんな、わいわい楽しみながら、ひぃひぃ言いながら書いています。
皆さん、乞うご期待!


英語で聞かれたことにすぐ答えられない人のために

英語で質問されると、すぐに答えることができない。そんな経験ある人もいるんじゃないでしょうか。それは、英語脳になっているのではなく、頭の中で英語を日本語に変換し、日本語で考えて答えを導き、それをまた英語に変換するという複雑なことをやっているからではないだろうか。

 

英語で質問される

英語を日本語に翻訳

日本語で回答を用意

日本語を英語に翻訳

英語で回答する

 
この回路であれば、英語で質問されてから英語で答えるまでに時間がかかってしまうのも仕方がない。脳の回路を英語で聞かれたら、英語で考え、そのまま英語で回答する、という形式にしたい。当たり前なことではあるが、いきなりやると難易度は高いのでまずは簡単なところから始めるとよい。そんな人のトレーニングとして参考になる本がこちら。Twitterで毎日夜10時半頃から10秒英語塾を行っている晴山先生の本だ。ぱっと言われてぱっと答える。TOEICのリスニングPart2もそんな感じですよね。練習になりますよ。

1秒速答!英語クイックレスポンス

 英語で聞かれたことにすぐ答えられない人のために


アイデアは才能では生まれない

ふっと本屋で手に取って読んでみた。実際に日本で生まれた新しい商品の生まれ方についての話。

 

アイデアは才能では生まれない

 アイデアは才能では生まれない

 

じゃがりこ、夜間先物取引、伊右衛門の発想など、日本で生まれた商品のアイデアはどうやって出てきたのかを書いている。そこまで深いことは書かれていないのだが、共通して言えることがある。それは、異なるモノの組み合わせで出来てくるということだ。基礎研究ではなく、商品開発なので、組み合わせたことのないものをうまく組み合わせることで新しいものを生み出している。さらにそのアイデアを実際に形にする。すなわち、0⇒1にしていく作業、それは才能じゃなくて努力で出来ること。そんな実例をみていくことができる本だ。


急成長から一転、倒産となったベンチャー経営者2人から学べること

急激に伸びていくようなベンチャー経営を追体験できる本としてオススメするのが以下の二つだ。どちらも会社をつぶしてしまった話。豪快に進んで会社が成長していく部分とそこからの転落。ほとんどのベンチャー企業は、その急成長の部分をまず味わうことは出来ない。だから、純粋にすごいと思う。世間から着目されるほどのアイディアと実行力、そして資金調達力。色んな意味でマネをすることは容易ではない。

 

社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由

私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日

 急成長から一転、倒産となったベンチャー経営者2人から学べること                          急成長から一転、倒産となったベンチャー経営者2人から学べること

 

「社長失格」は1996年頃のイパーネットという会社に関する話。「プッシュ型ダイレクト広告システムを利用した無料インターネット接続サービス」という当時では画期的なシステムを思いつき、資金調達し、実行にうつす。そのアイディア自体は面白いものであり、時代もマッチしていたこともあり数十億円を調達することに成功。あの夏野剛氏が東京ガスの後に働いていた会社だ(その後、倒産する3か月程前にNTTドコモにいくことになる)。そんな夏野氏の話もたくさん出てくる。どういう風にスケールの大きなビジネスが進んでいくのか、追体験することが出来る。このビジネス、スモールスタートではないため、巨額の負債を抱えてのスタートとなる。巨額の負債を抱えている場合、新規事業が事業計画通りに進んでいかないとキャッシュで苦しくなる。しかし、うまくいっていないときはお金を借りることができない。そうすると・・・・

 

ワイキューブは、2007年5月期には46億円の売上があった企業。ただし、その時の経常利益は1億円程度。その後、15億円まで売上は減少し破綻となる。人材系市場全体で下がっていたため、それは仕方がない面もある。彼独特の考えがあるからこそ、成功もあり、失敗もあったのだと思う。バーを作ったり部屋を豪華にしたりなどでマスコミの注目を集めるPR戦略は結果的にうまくいっている。だが、新宿の高層ビルに引っ越して、すぐに撤退することになるなど行き過ぎた面もある。攻めに出ないと伸びないが、やみくもに攻めていてもダメだということがわかる。

 

一か八か、大きく注目される賭けをしたいのか、それとも着実にやっていくことをしたいのか。経営者の性格が出る部分。この2冊とも経営者はいけいけなタイプ。だからこそ調子が良いときはどんどん大きくなる絵が描け、注目され業績も伸びる。一方でうまくいかなくなったり、外部環境が少し変化すると、財務面でのリスクを大きく背負っているので急激に危機を迎える。こういった危機を回避するために、スモールスタートで事業を始めていくというのは鉄則だろう。事業においては、選択と集中を行うこと。また、常に外部環境がどう変化するのか、そのリスク要因を頭に入れておく必要がある。例えば自分たちの場合は、今の段階では可能性はものすごく低いが、世の中必要な言語は英語ではなく中国語になったら?であったり、高性能な即時全自動翻訳機械が出来たら?であったりするかもしれない。そういった外部環境の変化も敏感に察知し、次の一手が打てるようにしておく必要性が感じられた。

 

これらの2つの例より、もっとスケールの小さいバージョンではあるが、どん底を経験し、でもそこで潰れず復活した会社、という本としては、「ウィルゲート 逆境から生まれたチーム」がオススメだ。こちらは、もう少しリアルに感じることが出来ると思う。こういった本で実際の現場をシミュレーションし、自分ならどう動くのかを考えるのは、良いトレーニングになる。


生産性をあげるコミュニケーション

コミュニケーションが大事だとはよく言われることだ。ではどういったコミュニケーションが高業績に導くのか。チームのコミュニケーションを研究した結果、以下のようなコミュニケーションをしていることがわかったという。

 

・チーム全員が平等に話したり聞いたりする機会がある。また簡潔に話をすることを心がけている。
・メンバー同士が顔を向き合わせてコミュニケーションをし、会話や身振りに熱意がある。
・各人が、チームリーダーを通してだけではなく、他のメンバーとも直接つながりがある。
・秘密事項や内輪話をチーム外に漏らさない。
・折に触れてチーム活動を中断し、チーム外の情報を持ち帰ってくる。

 

ちなみにデータからは個人の論理的思考や資質チームの成功に果たす役割は、想像よりはるかに小さいんだそうだ。なんだか、納得する。これを考えると、優れたチームを築くための方法としては、聡明さや実績からメンバーを選ぶより、チームのコミュニケーションの特性を調べて、成果につながるコミュニケーションを実践するよう導いていくことがよいのだろう。

 

チームの成果を左右する3つのコミュニケーション要素

チームの成果を左右するコミュニケーション要素の三つは、コミュニケーションの熱意チーム全体への関与チーム外への関与、ということが調査の結果わかったとのこと。

 
コミュニケーションへの熱意は、メンバー同士のやりとりの回数と性質をもとに測定することができる。対面での会話が最も良く、次いで電話やテレビ会議。電子メールは最も効果がない。回数に手段をかけて重み付けしたものが熱意度として考えることが出来る。

 
チーム全体への関与においては、チームの全員が各メンバーとの間で均等に熱心なコミュニケーションをしているかどうかが重要となる。リーダーとメンバーだけなど、一部のメンバー同士でのみコミュニケーションが活発であってもダメである。チームで均等にコミュニケーションが行われているのかどうか、図示されるとよくわかる。

 
チーム外への関与においては、チーム外とコミュニケーションを行うこと。それによって新たな発見が生まれアイディアが集まる。

 
これら3つの中でも、特にチーム内での対面でのやり取りの回数によって、チーム業績の差が出るという。この研究成果には納得する。ただ、これだけが真実だとすると、遠隔でチームを組んで成果を出していく、というのはとてつもなく難しいことになる。実際難しいと思う。遠隔でやってうまくいくパターンは、相手に期待する成果物をきちんと定義し、明確にして渡すという場合。しかし、チームで何か新しい一つのことを目指す場合、往々にしてその成果物をきれいに定義してわけることは難しい。その成果物自体が刻一刻と変化していくものだから。そこが国をまたいで一つのプロジェクトとして、共通のゴールに向かってすすめようとするときの難しい点だ。でも、それを行ってもパフォーマンスが通常と変わらない方法を作り上げることができれば、それはすごいことになるだろう。


How are you? の答え方一つで見る英語力

How are you?

 

この問いかけ、何度も聞くフレーズですよね。これに対してあなたはなんと答えますか?学校で習っているので反射的に出てきてしまうことも多いですよね。

 

I’m fine thank you, and you?

 

というように。でもこれ、あまりにも普通で面白いものではない。もっと、今日は疲れた~~、とか、今日はすっごく楽しかったとか、感情を出していいところ。決まり文句を返すだけの会話ではなく、これをきっかけとして話しを発展させるためのもの。だから、慣れている人であれば、

 

I’m very tired, because of the long meeting.

 

とか、すごいいい気分なんてときには、

 

Great!!

 

とか使ったりして感情をちゃんと表します。そしたら、何があるの?何があったの?なんて会話に発展していきますよね。まぁまぁかなぁっていう気分のときには、

 

I’m ok.

 

なんてのも使うのもあり。でも、I’m ok は気をつけないといけません。肯定的なニュアンスというよりも、なんとか大丈夫、というニュアンスになります。僕は、フィリピン料理を出されて、どう?って聞かれるとついつい、I’m ok って口から出てきてしまうという癖があったり。。。

 

How are you? と聞かれたら、色んなバリエーションで、自分の感情を素直に口に出していってみましょう!そうすると、どんどん会話が広がっていきますよ。

 

 


少し劣勢だと伝えることがもっとも意欲を引き出す

興味深い調査結果が今月のハーバードビジネスレビューにのっていた。

 

競争相手に若干後れを取っている人は、若干リードしている人よりも最後に勝つ確率が高い。

こんな実験を行った。
「どちらが速くキーを打つことができるかを確かめるために、別の部屋にいる人と1対1で競争をしてもらう。勝った人には賞金を出す。」
第一ラウンドが終わったあと、それぞれの被験者グループに異なる途中経過を伝えた。「競争相手に大きく後れを取っている」「若干後れを取っている」「五分五分」「若干リードしている」の4種類。

結果、第二ラウンドで著しくペースをあげたのは、「若干後れを取っている」と告げられた人たちだけだった。

 

この実験以外にも実際のスポーツにおいても同様な傾向は見られるという。NBAにおいてもハーフタイムの時点で1点負けているチームは、その時点で1点リードしているチームより勝つ確率が高い。

 

なお、実験結果からは、具体的な数値が必要だということはなかった。「若干後れている」「彼の提出する報告書のほうが少し体裁が整っている」というような主観的評価を伝えるだけでよい。この評価を伝えるのは、ハーフタイムのように振り返りの時間になるときがよい。つまり、休憩をもうけて振り返りをするのがよい。

 

この調査結果は実践で使えるものになる。仕事の成果目標を設定する際には、そのままだと達成できないが、もう少しがんばると達成できるという目標になっていると、一番意欲が引き出され、よい成果となるのだろう。目標が遠すぎたり、達成可能だと思われてしまうと、底力が発揮されない。

 

目標の設定によって、意欲を引き出し通常以上の成果にしたい場合は、そのままではちょっと達成できないけど、ストレッチしすぎでない絶妙な設定が求められる。他人と競わせることで意欲を引き出す場合は、そのライバルが同程度の実力であり、期の中盤での振り返りなどで、ちょっとライバルに負けているよ、と主観を伝えるともっとも意欲を引き出せるのであろう。


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