アーカイブ ‘ 2012年 8月15日

少し劣勢だと伝えることがもっとも意欲を引き出す

興味深い調査結果が今月のハーバードビジネスレビューにのっていた。

 

競争相手に若干後れを取っている人は、若干リードしている人よりも最後に勝つ確率が高い。

こんな実験を行った。
「どちらが速くキーを打つことができるかを確かめるために、別の部屋にいる人と1対1で競争をしてもらう。勝った人には賞金を出す。」
第一ラウンドが終わったあと、それぞれの被験者グループに異なる途中経過を伝えた。「競争相手に大きく後れを取っている」「若干後れを取っている」「五分五分」「若干リードしている」の4種類。

結果、第二ラウンドで著しくペースをあげたのは、「若干後れを取っている」と告げられた人たちだけだった。

 

この実験以外にも実際のスポーツにおいても同様な傾向は見られるという。NBAにおいてもハーフタイムの時点で1点負けているチームは、その時点で1点リードしているチームより勝つ確率が高い。

 

なお、実験結果からは、具体的な数値が必要だということはなかった。「若干後れている」「彼の提出する報告書のほうが少し体裁が整っている」というような主観的評価を伝えるだけでよい。この評価を伝えるのは、ハーフタイムのように振り返りの時間になるときがよい。つまり、休憩をもうけて振り返りをするのがよい。

 

この調査結果は実践で使えるものになる。仕事の成果目標を設定する際には、そのままだと達成できないが、もう少しがんばると達成できるという目標になっていると、一番意欲が引き出され、よい成果となるのだろう。目標が遠すぎたり、達成可能だと思われてしまうと、底力が発揮されない。

 

目標の設定によって、意欲を引き出し通常以上の成果にしたい場合は、そのままではちょっと達成できないけど、ストレッチしすぎでない絶妙な設定が求められる。他人と競わせることで意欲を引き出す場合は、そのライバルが同程度の実力であり、期の中盤での振り返りなどで、ちょっとライバルに負けているよ、と主観を伝えるともっとも意欲を引き出せるのであろう。


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