『伝え方が9割』 佐々木圭一 著
本屋にも山積みされていて話題になった本だ。Kindle版でも出ていたので、それをDLして読んでみた。
コトバはもともと相手に届けるために作られたもの、だから、どういうコトバが相手の心に響くのかを考える必要がある。そして、伝え方を工夫することで導きたい結果にもっていく。
例えば、デートしたい相手がいたとしよう。そんなときに、
「デートしてください」
と言った場合、好意をもたれていない場合は、うまく行かない可能性が高い。だけど、
「驚くほどおいしいパスタの店があるんだけど、行かない?」
と言った場合は、ぐんとYesと言ってもらえる確率があがる。パスタの店に行くのは一緒、だけど言い方を変えるだけで結果が変わってくる。
この違いは、相手のことを考えているかどうかだ。では、どうすればいいのか。
Step1. 自分の頭の中をそのままコトバにしない
Step2. 相手の頭の中を想像する
Step3. 相手のメリットと一致するお願いをつくる
これらを行えばいい。相手の事を理解する、それが大事になる。では、Step2.にて、相手の頭の中を想像して、Yesに変えるために、どんなことに気をつければよいのか。本書ではその切り口として7つ紹介されている。
1. 相手の好きな事
相手の好きなことを考え、相手のメリットを作る。例えばデートしてください、では自分のメリットでしかない。しかし、相手がワイン好きだった場合に、おいしいワインの店知ってるけど行かない?と言うと相手のメリットになってYesと言ってもらいやすくなる。
2. 嫌いなこと回避
嫌いなことを強調することで、それを選ばないようにさせる。例えば、芝生に入らないで、と言うよりも、芝生に入ると農薬の臭いがつきます、と言ったほうが芝生に入らなくなる。
3. 選択の自由
人は決断が得意ではないが、2つの選択肢があるときの比較は得意だ。だから、あることをして欲しいときに、Noの選択肢は消しておいて、A案とB案あるけど、どちらがいい?という聞き方をするとNoと言わずにA案かB案を選んでしまいやすくなる。
4. 認められたい欲
何かを認められると嬉しくなるもの。仕事をお願いするときにでも、普通にこの仕事お願いできる?というよりも、きみの企画書が刺さるんだよ、お願いできない?と言ったほうがYesと言ってもらいやすくなる。
5. あなた限定
あなただけ、と言われるとYesといいやすくなる。例えば、他の人がこなくても中村さんだけには来て欲しいんです、と言うと必要と思ってくれていると思わせYesと言ってもらいやすくなる。
6. チームワーク化
相手がめんどくさいと思っていることなどに対しては、いっしょにやりましょう、とチームワーク化するとYesといいやすくなる。例えば、子供に勉強させたければ、勉強しなさい!と言うのではなく、一緒にリビングで勉強しよう!と言う方が良い。
7. 感謝
ありがとう、など感謝を伝えられてからものを頼まれるとNoと言いにくい。
こういったことに気をつけて伝え方をちょっと変わるだけで、結果が変わる。これって皆、体験したことあるんじゃないだろうか。これらを常に意識することによって、もっと結果を変えていくことができるんだろうと思う。
ただ、これを読んでて、7つの切り口があると言われたときに次の切り口は入っているだろうなと思っていた。それは、
あなたと同じような人たちは、みんなやっている、と言うとYesをもらいやすい
ということ。しかし、本書にはこのことが入っていなかった。とっても意外。みんながやってるから、じゃあやろう、というのは数々の行動経済学の実験でも実証されている。
たとえば、こんな実験がある。
ホテルが環境のことを考え、連泊者には翌日も同じタオルを利用してもらいたいと思った。そこで次の3つのようなカードを用意し、それぞれどういう結果になるのか実験した。
1. 通常の環境保護メッセージの書かれたカード
2. ホテルに泊まった大多数が再利用したことを伝えるカード
3. 過去にその部屋に留まった人の大多数が再利用したことを伝えるカード
その結果、3.のカードが最も再利用してもらえる確率が高く、次に2.、最後に1.という結果だった。2.は1.よりも26%多く再利用され、3.は2.よりも33%多く再利用されたという。このことから、自分と同じような環境にある人の行動をマネする傾向がある、ということが言える。
仕事で何か提案をする場合も、相手と同じような人も導入していますよ、などというと導入されやすくなる。このことが伝え方の中に入っていなかったけど、個人的には重要な伝え方の一つだと思う。
読んでない人は読んでみると実践的でいいと思いますよ!