アーカイブ ‘ 2012年 8月11日

ウェブはグループで進化する

ウェブはグループで進化する 』 ポール・アダムス著

 

 ウェブはグループで進化する ウェブはグループで進化する

 

この本は、よくまとまっていて、勉強になる良書。
海外著者のビジネス本は、研究成果のような形で
物事の原理原則と考えられることをわかりやすくまとめた形に
なっているものが多く、とても奥が深くて勉強になる。
本書もそんな形式になっている。

 

各章において、人々のコミュニケーションを心理学やウェブの観点から考察している。
ウェブのあり方の変化に関しては、ウェブを利用している多くの人にとっては、
なんとなく感覚でわかっていたことを言語化しうまくまとめている。

 

本書で特筆すべきポイントは、
ティッピングポイント
(現在のタイトルは、「急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」)
にて有名になったインフルエンサー理論を否定していることだ。

 

インフルエンサーに注目するという姿勢は、「世界がこう動いていほしい」という願望に基づくものであり、実際の世界に基づくものではない。

 

では何が重要なのか。
情報が広く伝わるためには、影響を受けやすい人々とつながりを持つ必要がある。
誰が影響力を持つかよりも、ソーシャルネットワークの構造、すなわち
影響を受けやすい人物が十分に存在し、
その人たちが同じように影響を受けやすい人々と
つながりを持っているのかどうか、が重要になる。

 

マーケティング戦略においては、
情報を受け取るグループがより情報を受け入れる閾値が下がる仕組みを考えなくてはいけない。
また、どのようなグループをターゲットにしているのかを
考慮して戦略を考えていくことが求められる。
本書では、つながりを多く持ち心理的ハードルが低い人をイノベーターハブ、
つながりの数は多いけれども、より心理的ハードルが高い一般的な人々を
フォロワーハブと呼んでいる。
この両者に対して適切な戦略を取ることにより、
情報が一般大衆に広まっていく。

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マーケティング戦略を考える上ではこういった理論を考慮する必要がある。
決してこの本にマーケティングの解が載っているわけではない。
人々の行動原理の有力な仮説が書かれているに過ぎない。
マーケティング担当者は、これらを元にますます急速に進化していくWebの世界で、
どうやって生き残っていくのかを自分たちで必死に考え、
有力な仮説を出し、検証しながら作りあげていく必要がある。
行きあたりばったりではなく、理論に基づいた仮説を作り、
検証結果から新たな理論を作っていくことが求められる。


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