すべての組織は変えられる 好調な企業はなぜ「ヒト」に投資するのか
『すべての組織は変えられる』 麻野耕司 著
リンクアンドモチベーションの麻野先生の著書。初速は好調だとか、さすが。
リンクアンドモチベーションさんには弊社も2012年の秋頃から人事制度導入でお世話になった。結構お高い金額ではあったんですが、半年間、麻野さんにご担当いただき、ビジョンミッションからそれらをもとにした人事制度の設計まで、どうしてそうなるのかまできちんと理解を共通にしながら使えるいいものを作ることができた。その過程でいろんなことを勉強させていただいた。そのときの話もかなり本の中には盛り込まれていた。
例えば、組織に問題がある、という場合には「人」に目を向けられがちだが、「人間」という言葉が示すように、問題は人と人との間にある。だから、その間のコミュニケーションをきちんと設計したり、変えたりしていかなければいけない。などなど。
リーダーとして、やるべき正しいことがいろいろ書かれていて身にしみる。例えばこんな感じのこと。
・何が正しいかではなく、どうすればうまくいくかに着目する
・メンバーのタイプ(アタックタイプ、レシーブタイプ、フィーリングタイプ、シンキングタイプ)に合わせた対応が必要になる
・自分が受けてきたマネジメントを捨て、経験則を絶対視しない
・陰口や悪口がなくなるだけで組織は激変する
・課題ではなく期待を伝える
・正す場合は、アクションではなくスタンスを正す
・当事者意識を持たせる
・決断はできる限り、リーダーが一人でする
メディア取材などで、御社の強みは何ですか?と聞かれたときに、ヒトです、と答えても、結構ピンとこない人は多い。それは外からだと見えにくい部分だし、具体的にその強みを証明するのも難しいから。安さです!とか、こんな機能です!とかのほうが一見するとわかりやすい。ただ、サービスを継続的に成長させ、良いものにしていくのは、ヒトが差別化要因になっていく。だから、ヒトが重要になっていく。ヒトが重要になっていく場合、本書に書かれているようなことはとても重要になってくる。部下を持っているリーダーは必ず読んで身につけたほうがいいし、メンバーも読んで組織というものを理解しておくといい。
こういった難しいことをきちんと理解して社内でも実践している麻野さんはすごい。組織っていうと会社のリーダーのための話のように感じるが、もう少し違う視点で言えば、他のことにも色々応用できる。例えば家庭だって組織に似ていると言える。家庭をどうマネジメントして子供を育てていくのかも、組織をどうマネジメントしていくのかも、似ている部分がある。いろんな観点で学べるのでオススメの本だ。