アーカイブ ‘ 2013年 2月17日

国際的日本人が生まれる教室

国際的日本人が生まれる教室 中原徹 著

 国際的日本人が生まれる教室

 

この本、面白かった。著者の中原さんは、日本で2年間弁護士をして、その後アメリカのロースクールに行き、米国の法律事務所でパートナーまで登りつめた。2010年4月、民間人校長として大阪府立和泉高等学校に赴任。最年少校長だ。

 

そんな経歴の方なので、やってることがとても頼もしい。高校生をグローバルにしていかなくてはいけない、という強い使命を持って実践している。とっても共感する。どんなことをやっているのか。本書にわかりやすい図があったのでそれを載せてみる。

 

国際的日本人を作る条件

私はなぜ日本の教育を変えたいのか?

教育を通じて「強い日本」を作りたい

「グローバル人材」が必要

↓ →→ 「グローバル人材」とは何なのか?
↓       ↓
↓ ←← 異なる文化、言語、宗教の人々と最大公約数的な理解のもとに共存できる人材

なぜグローバル人材でなければならないのか?

日本とは異なる世界のスタンダードが存在するから

世界のスタンダードで試合をしていくために必要なことは?

世界に通用する「正しい競争の仕方」

では「グローバル人材」を育成するためには何が必要か?

1. 英語力 →なぜ英語力が必要なのか、どうすれば英語力はアップするのか
2. 言いたいことを伝える力
3. 日本人としての誇り
4. 豊富な知識、教養
5. “変人”になること

 

まず、グローバル人材を定義している。グローバル人材とは、「異なる文化、言語、宗教の人々と最大公約数的な理解のもとに共存できる人材」ということ。ちょっとわかりにくいけれども、お互いに違いがあるということを認識し、共通部分できちんと理解しあっていくことが出来る必要がある。共通なのは、論理力。自分の考えと同じでとても共感。

 

グローバル人材であるために、英語力は不可欠であり、その英語力をアップさせる方法についても教育的見地から述べている。中原さんは、日本人は英語が苦手である理由を5つ述べている。

 

1. 日本語は英語と文法構造がまったく異なる
2. 発音において、日本語と英語は決して近い存在ではない
3. 生活の中で英語が頻繁に用いられる環境がない
4. 大学入試における英語のテストが実践的な英語の実力を試すテストになっていないために、大学入試までの英語の勉強が「実際に使える英語」からほど遠いものになっている
5. 日本の小学校での英語教育が充実していない

 

完全に同意だ。発音の部分においては、子供の頃の早い時期に日本語にない母音の発音、アクセント・リズムに慣らして発声できるようにしておくのがいい。そうすると、後々とても楽になる。これは、自分自身が5、6歳の頃にそういう経験をしていたこともあり、とても実感する。子供の頃に文法の必要はないと思うが、聞いたもの(リスニング)をそのまま発音することはやっておくとよいだろう。

また、大学入試に4技能を入れるということにも、同意だ。中原さんはTOEFL iBTを大学入試に導入するべし、という考えだ。高校は大学入試に受かるためにどうするかを考えるので大学入試が変われば高校の英語教育も変わる。日本の英語教育で重視されてこなかったスピーキングをきちんとテストに入れるべきである。これは、大学入試だけじゃない。社会人に普及しているTOEICも同様だ。今のものには、スピーキングがない。スピーキングのある TOEIC SW や TOEFL iBTを基準として入れる必要がある。そうすると、日本人の英語力もあがるはずだ。

 

こんな校長先生がもっともっと増えれば、世の中どんどん変わっていくんじゃないだろうか。先日楽天の三木谷社長が産業競争力会議で提出した資料があったが、とっても目的、指標が明確でわかりやすい。どこかの党がこれを打ち出せば選挙圧勝するんじゃないだろうかと思わせる内容。グローバルに結果を出してきた民間人が国を変えていく。そんな時代になってきているのかなと思うし、なっていって欲しい。


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