「グローバル思考の英会話」 ウィリアム・A・ヴァンス 著
この本はとても良い。ビジネス英会話を学びたい、という人にはとってもオススメだ。「ビジネス英会話」とはどういうものか、ということが手に取るようにわかる。本の中身をざっと紹介してみたい。
1章 これから話すことが100倍よく理解される技術
まずは大前提となることだが、ビジネスで大事なこと。それは、相手に聞いてもらえるかどうか、理解してもらえるかどうかである。相手の興味をひく形で話す必要がある。次に話の中でロードマップ(My talk is divided into three parts. First we … など)を示していく必要がある。そして、話の筋道を表す標識の役割(In my view, In additionなど)が文中に使用されているとわかりやすくなる。この3つを英語で意識しながら話していくために有用なフレーズも載っている。
例えば、相手が理解に苦しんでいると感じたときは、
・Let me put it in another way.
・The point I’m trying to make is …
というフレーズを使うことが出来る。
話の方向を明確にし、論理展開をきちんと提示することで話全体がわかりやすくなる。そこまで難しいフレーズが多いわけではないので、しっかりと覚えて積極的に使っていき、コミュニケーションを円滑にしたいところである。
2章 優れたビジネス英会話はピンポイントする単語から生まれる
ビジネスではあいまいな表現は避けて正確な表現をしたほうがよい。例えばグラフの説明をする場合でも、増加する、減少する、という言い方にもいくつかある。Go up, rise, increase / go down, fall, decrease, decline. 表現にバラエティを出しながら説明すると、丁寧にデータを描写している印象を与えるので説得力が増す。もちろん洗練さも増す。増減の度合いを形容詞を付けて表したり、一語で表わせるとさらによい。例えば、rise quickly, fall sharply / soar, plunge などである。また、変化の度合いも3段階程度(small, moderate, big のように)で適切に用いることができるとよい。変化の状態、度合い、スピード、頻度を正確に表現できると伝わりやすくなる。
ピンポイントで描写する動詞は、因果関係を説明する場合に役立つ。Caused, resulted in, led to, produced, influenced などだ。例えば次のAとBの文、どちらも意味がわかるものだがBのほうがより明確になる。
A: Our web advertising campaign made an increase in customers. The large number of orders made a shortage of shirts.
B: Our web advertising campaign led to an increase in customers. The large number of orders resulted in a shortage of shirts.
こういう動詞がきちんと使えるようになると、ビジネスパーソンとして、より洗練された表現になっていく。
3章 スピーキング上達の基本はスタイルだ
スピーキングを行うにあたって、一番大事なことはなんだろうか。私は、個々の発音ではなく、音の抑揚などのイントネーションだと思う。例えば、中国語のモノマネをしてください、と言われたら、あなたはどうしますか?テレビで芸能人がやるように、個々の単語や発音は知らないけれども、なんとなくのイントネーションでモノマネをすることができるんじゃないだろうか。英語のスピーキングにおいても、まさにそのモノマネが一番重要だと思う。本章では、これと同じことが書かれており、下図のようなピラミッドで、イントネーションが基本となるスピーキングスタイルから成り立っている。このスピーキングスタイルを意識すれば、必ずやスピーキングは上達していくでしょう。そういえば、中学校の英語教育では個々の発音を重視されてたなぁというのを思い出し、英語発音教育のやり方自体を変えないといけない、そう感じる3章の内容。
4章 感謝される最高の聞き手になろう
コミュニケーションを取る上で、きちんと聞くということは重要なことだ。その際に必要となるのは相手に聞き返すこと。合図する(So, you seem to be saying that… など)、要約する(You mentioned that… など)、確認する(Did I get your key concerns? など)を行うと情報の欠落や誤解が少なくなる。きちんと、質問、確認をしていくことはビジネス会話ではとても重要だ。
5章 英語の選び方であなたとあなたの会話は成功へと導かれる
この章では、好印象を残すという一歩上の技術について説明されている。何に気をつけるか、それは主語が”I”なのかどうかだ。
A: I want to serve strawberry cake.
B: It would be nice to have strawberry cake.
A: I can arrive at 8pm to help with the preparation.
B: It’s convenient if my part in the preparation begins at 8pm.
AとBの文、同じことを言っているのだが印象ががらりと変わる。Aは”I”に主眼が置かれているため、自己中心的というネガティブな印象を与えかねない。一方で、Bの文は協調性を示すような洗練された構造になっている。高度な技術だが、うまく用いることができればビジネス英語のレベルは一つ上がる。
上記よりも、簡単に好印象を残すための方法がある。それは「相手の名前を入れて呼びかける」ことである。科学的にもその効果が実証されているという。あるとき、フィリピンで食事をしていた際、一緒にいた人がウェイターの胸についていた名前のバッジを見ていて、次にそのウェイターが来た時に、”Give me water, Mark.” というように、名前を入れて話しかけていた。その時、相手に何で?と聞くと、その人は、「相手の名前を入れて呼んだ方が、働いている側は気持ち良くなるから、出来るだけ名前で呼ぶようにしている」と言っていた。まさにこのことを普段から実践していたのだ。
最後に、もう一つ好印象を残す(ネガティブさを消す)方法がある。それはネガティブな表現をポジティブに変えることである。notやcan’tを使わずに別の表現にする。
A: I could not remember his phone number.
B: I forgot his phone number.
A: Our office does not have a printer.
B: Our office lacks a printer.
A: You didn’t answer my question.
B: My question was unanswered.
AとBの文を比べると、同じことを言っているのに、Bではポジティブになっている。少々難しい技術ではあるが、これを使えるとよりよい印象を与えることができる。
この本に書かれていることは上記のようなことだが、まさにこれがビジネス英会話である。全てをいっきに実践するのは難しいかもしれない。少しずつ学習し、身につけていこう。そして、レアジョブでこの実践練習をして、レベルアップしていこう。