死について考え、幸せに生きるためにはどうすべきかを考える本
『幸せな死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと 若き外科医が見つめた「いのち」の現場三百六十五日』 中山祐次郎 著
先日、この本の著者とお会いし、本をいただいた。中山祐次郎さん、34歳独身、同じ年だ、彼は大腸ガンの専門外科医。年間200以上の手術を行っている。がんと診断された患者さんの一番はじめの治療から最期のときまで一貫して同じ外科医が主治医として担当している病院で働いている。だからこそ、数々の死の場面に直面してきた。そこで感じたことが本書にはまとめられている。
この本を読まなければ、ただの面白いおっさんという印象で終わってたところだけど、深く人間の心理状態も考えた上でのプロの医師としての日常が見えて、とても尊敬する。そんな彼が体験してきたことから言えるのは、
「死は突然やってくる」
ということ。漠然と日本人の平均寿命の80歳くらいまでは生きれるかな?とか考えていても、それはあくまで平均であって多くの場合は突然やってくる。それが明日かもしれないし、10年後かもしれないし、それはわからない。人生は締め切りがわからないプロジェクトだ。
そんなプロジェクトで、自分は何をしていきたいか、どういう最期を迎えたいか。自分に問いかける時間を本を読みながらもつといい。本書であげられていた中の一つ、
「幸せのハードルを自分で動かす」
に共感する。他人と比べたりして、自分は不幸だ、なんて思っていたりするといつまでも幸せになれない。幸せは自分で決められるので、日々のちょっとしたことに幸せを感じていけばいい。お惣菜屋で50%OFFで買えたとか、きれいな夕日が見れたとか、ちょっとしたことを幸せに感じていく。だから、運命は受け入れ、その中で自分の幸せを探していく。究極の主体性だ。
最期に、著者は、
「いつ死んでも後悔するように生きる」
と述べている。その意味としては、いつでもやり途中のプロジェクト、やりたいことがあって、死がどのタイミングで来たとしても、やり残しがあるということ。やりたいことは全部できた、ではなく、やりたいことはどんどんできてくるからやり残しがないなんていうのはないという考え方。そういう考え方もある。自分もやりたいこと、いっぱいある。仕事の上ではこのサービスを自ら立ち上げたい、大きくしたい、もっと使ってもらえるようにしたい、もっと売上利益増やしたい、もっと組織としていろんなものが生まれるようにしたい、などなど。プライベートでも結婚もしたいし、子供も欲しいし、旅行行ってオーロラ見たいし、とかとかいっぱいある。それらが達成されれば、また新たにやりたいことが出てくる。
やりたいことをやってきたから、いつ死んでも後悔しない、ということを言い換えて、いつでもやりたいことがあるからいつ死んでも後悔するという生き方、いい言葉だ。
死を想う、これをすることによってより人生は充実する、そう感じる。漠然と生きている、という人にぜひ読んでもらいたい本だ。