私はいくら?
『私はいくら?』 野口真人著
企業価値評価を専門にするプルータスコンサルティングの野口社長の著書。仕事柄、ファイナンス関連の本かな?と思ったら、そうではなかった。人材の価値をファイナンスの観点から考えたものである。
企業価値を算出する場合、通常は時価総額で考えられる。ただし、市場が常に正しいとも限らないので、きちんと現在価値を算出する必要がある。その基本的な考え方は、「いまどれだけの資産を持っているかではなく、将来的にどれくらいキャッシュフローを生むか」である。その根幹となる考え方の式がこれ。
現在価値(PV)=将来の平均キャッシュフロー(CF)/ 割引率(R)
この企業価値に用いる式を本書では個人の人材としての価値としても利用して考えてみている。簡単に言えば、キャッシュを将来的に稼げる人が価値が高い人材ですよ、ということ。キャッシュをかせいでも、費用も多かったら意味がない。また、将来稼ぐだろうという信用力が高いほど、割引率は低くなって、価値が高くなる。
ファイナンスの考え方を頻繁に使いながら、人材の価値について書かれている。書かれている内容としては、経営者としては当たり前の心構えばかりなところが多い。会社が与えた目標以上の稼ぎをあげて、初めてあなたの価値が評価されるとか、相手がわかる言葉で話すとか、自分の価値を周囲に知らせる際は、自らの利益ではなく会社のキャッシュフローをどれだけあげることができるか、という視点で行うとか。20代、30代の社会人にとっては新しい視点も多いと思うので、読むといいんじゃないだろうか。
個人的には、こういう若手ビジネスパーソンのための基本的考え方をきちっと文章にまとめ、かつ、それを得意とするファイナンスという観点にて書いたという切り口がすごいなぁ、と感じる。
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