嫌われる勇気
『嫌われる勇気』 岸見 一郎, 古賀 史健 著
この本、とってもよかった。アドラー心理学のことをわかりやすく対話形式で説明している本だ。「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに対して答えを示しているものだ。
一つ目の面白くて、うなずける考え方は、過去の原因ではなく、いまの目的を考えるということ。具体例をあげてみる。
過去に虐待を受けたとかイジメにあったとかで、もう何年も自室にこもりっきりになっている人がいたとする。その人は、過去のトラウマが原因で現在は外に出るのが恐ろしくなり、一歩でも外に出ると動悸がはじまり手足が震えるのだろう、と一般的に考えられることが多いだろう。
しかし、アドラー心理学ではそうは考えない。外に出ない、という目的が先にあって、その目的を達成する手段として不安や恐怖といった感情を作り出している、と考える。
他の例を一つ。
喫茶店で本を読んでいると、ウェイターが上着にコーヒーをこぼしてしまった。カッとなって大声でウェイターを怒鳴りつけた。怒りに駆られて大声を出した、と一般的に考えられることが多いだろう。
しかし、アドラー心理学では、大声を出すために怒った、と考える。
怒りは出し入れ自由な道具であり、目的を達成するための手段として利用している。過去については何も関係ないと考える。
これまでの人生になにがあったとしても、今後の人生をどう生きるかについてなんの影響も与えない。人生とは誰かに与えられるものではなく、自ら選択するものであり、自分がどう生きるかを選ぶのは自分なのだ。
かなり理にかなった考え方であると思う。その一方できちんと理解し、実践していくのは難しいものであろう。他にもこんな考え方がある。
・すべての悩みは「対人関係の悩み」である
・他者から承認を求めることを否定する、他者の期待など満たす必要はない
・これは誰の課題なのか?という視点から自分の課題と他者の課題とを分離していく必要がある、そして他者の課題には踏み込まない
・対人関係のゴールは、他者を仲間だと見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられる共同体感覚
・すべての対人関係は「同じではないけれど対等」という横の関係とする
・人はほめられることによって「自分には能力がない」という信念を形成していく
・人は自分には価値があると思えたときにだけ、勇気を持てる
・人はわたしは共同体にとって有益なのだ、他者に貢献できている、と思えたときにこそ、自らの価値を実感できる
・変えられるもの(与えられたものをどう使うか)と変えられないもの(与えられたもの)を見極める
・幸福とは貢献感である
色々ためになる考え方が書かれていて勉強になる。漠然と思っていたことが言葉にされていて、そのまとめられた考え方は色んなところで使えるなと感じる。オススメの一冊。
はじめまして。
『嫌われる勇気』読書会&講演会にご参加されると
より深く理解されるかと思います。
よろしければぜひご参加ください。
11月09日(日)13:30~
新大阪丸ビル新館 609号室